非喫煙者でも肺がんになる?女性に増えている肺がんの特徴と早期発見の重要性
当院で手術を受けられた患者さんからも、このようなお話を伺うことがあります。
肺がんというと、「喫煙者の病気」というイメージを持たれる方が多いかもしれません。
しかし実際には、肺がん患者さんの中には一度も喫煙したことがない方も少なくありません。男性もそうですが、特に女性では非喫煙者の肺がんが比較的多いことが知られています。
実際に当院にも、
- タバコを吸ったことがない
- 健康診断で肺に影を指摘された
- CT検査で肺結節が見つかった
- 「経過観察で良い」と言われたが不安がある
という40〜60代の女性が多く受診されています。
この記事では、非喫煙者の肺がんの特徴や、CT検査による早期発見の重要性について解説します。
非喫煙者でも肺がんになるの?
結論から言うと、なります。
肺がんは喫煙が大きな危険因子であることは間違いありませんが、喫煙歴がない方にも発症します。
実際、男性と比べて、女性の肺がんは非喫煙者の割合が多く、「肺腺がん」が多いことが報告されています。
当院で手術を受けられた患者さんの中にも、「タバコを吸ったことがないので肺がんは考えたこともなかった」と話される方がいらっしゃいます。
そのため、「タバコを吸わないから肺がんにはならないとは言い切れない」のです。
すでに肺がんと診断され、「なぜ自分が肺がんになったのか」「本当に手術が必要なのか」と不安を感じている方は、こちらの記事もご覧ください。
非喫煙者の肺がんに多い「肺腺がん」とは
非喫煙者の肺がんで最も多いのが肺腺がんです。
肺腺がんは肺の奥(末梢)に発生しやすく、初期にはほとんど症状がありません。
- 咳が出ない
- 痰が出ない
- 血痰がない
- 息苦しさもない
という状態で見つかることが多くあります。
そのため、「元気だから大丈夫」と思っていた方が、健康診断や人間ドックで偶然発見されるケースもあります。
レントゲンでは見つかりにくい肺がんもあります
「毎年レントゲン検査を受けていたのに肺がんが見つかった」という患者さんは決して珍しくありません。
これはレントゲン検査が悪いという意味ではありません。
胸部レントゲンは、進行した肺がんや比較的大きな肺がんの発見に役立つ有用な検査です。
一方で、当院に相談に来られるような早期肺腺がんの多くは、淡い「すりガラス陰影」として現れます。そのため、胸部レントゲンだけで発見することは容易ではありません。
特に、肺の血管や肋骨、心臓などの陰と重なる部位にある病変は、胸部レントゲンでは指摘が難しいことがあります。
実際に当院で手術を受けられた患者さんの中にも、「毎年レントゲン検査を受けていたが、人間ドックや肺がんCT検診で初めて肺の影を指摘された」という方が少なくありません。
一方、CT検査では数ミリ程度の小さな病変まで確認できるため、症状のない早期肺がんの発見に大きな力を発揮します。
特に非喫煙者の女性に多い早期肺腺がんは、CT検査によって初めて発見されることも珍しくありません。

図1. 40代女性・非喫煙者
胸部X線では異常を指摘されなかったが、CT検査で右肺中葉に約9mmのすりガラス陰影を認めた。
胸腔鏡下肺部分切除術を施行した結果、病理診断は上皮内腺癌(ステージ0の肺がん)であった。
CT検査によって早期肺がんが見つかるケースがあります
近年では、CT検査による肺がんの早期発見の重要性が注目されています。
実際に東京都豊島区では、40歳以上の区民を対象とした肺がん検診において、偶数年齢の方に胸部CT検査を実施する独自の取り組みが行われています。
豊島区によれば、胸部CT検査を含む肺がん検診を無料で実施しているのは23区で唯一とされています。
これは、胸部レントゲンだけでは発見が難しい早期肺がんを、CT検査によって発見することを目的とした取り組みです。
実際に当院には、豊島区の肺がんCT検診で肺に影を指摘されたことをきっかけに受診される方が少なくありません。
その中には、まったく症状がない状態で早期肺腺がんが見つかり、胸腔鏡下肺部分切除術を受けられた方もいます。
もちろん、CTで見つかった影のすべてが肺がんというわけではありません。炎症や過去の感染症の痕跡であることもあります。
しかし一方で、症状が出る前のごく早い段階で肺がんを発見できることは、CT検査の大きなメリットです。
症例紹介:CT検診で見つかった早期肺腺がん
50代女性の患者さんです。
喫煙歴はなく、自覚症状もありませんでした。
豊島区の肺がんCT検診で肺の影を指摘され、当院へご相談に来られました。
CT画像を確認したところ、左下葉に約6mmの不整形な肺結節を認めました。
病変は胸膜に接しており、原発性肺癌の可能性が高いと考えられたため、患者さんと十分に相談したうえで胸腔鏡下肺部分切除術を行いました。
病理診断は上皮内腺癌(ステージ0)であり、極めて早期の段階で発見することができました。
患者さんからは、「肺がんは喫煙者の病気だと思っていたので、自分が肺がんになるとは考えたこともありませんでした」 とのお話がありました。
このように、非喫煙者であっても肺がんが見つかることがあります。また、症状がないままCT検査で初めて発見されるケースも少なくありません。
実際に、肺がんと診断された後に大きなショックを受ける非喫煙者の方は多いです。
「タバコを吸ったことがないのに肺がんと言われた」「本当に手術が必要なのか分からない」という方は、こちらの記事も参考にしてください。
肺のCT検査は、豊島区のような一部の自治体を除き、一般的な肺がん検診には含まれていません。
しかし、当院で治療している早期肺腺がんの患者さんの中には、症状がないままCT検査で初めて肺の影を指摘された方が少なくありません。
「タバコを吸わないから大丈夫」と思われがちな非喫煙者の肺がんだからこそ、CT検査による早期発見が重要になる場合があります。

図2. 50代女性・非喫煙者
豊島区の肺がんCT検診で指摘された左下葉S8の約6mmの不整形肺結節。
経過観察後も病変が消失せず残存していたため、胸腔鏡下肺部分切除術を施行した。
病理診断は上皮内腺癌(ステージ0)であった。
非喫煙者の肺がんはなぜ起こるの?
現在でも完全には解明されていません。
考えられている要因としては、
- 加齢
- ホルモンの影響
- 大気汚染や環境因子
- 受動喫煙
- 遺伝子の問題
などがあります。
ただし、これらの要因だけでは説明できないケースもあります。
実際に当院で治療を受けられた患者さんの中にも、
- 喫煙歴なし
- 受動喫煙歴もほとんどなし
- 健康診断やCT検診で偶然発見
という方がいらっしゃいます。
そのため、「私はタバコを吸わないから大丈夫」とも、「受動喫煙もないから大丈夫」とも言い切れないのが肺がんの難しいところです。
早期発見によって、肺をできるだけ残しながら日帰り手術が可能になることがあります
非喫煙者の肺腺がんは、健康診断やCT検査によって比較的小さい段階で発見されることがあります。
また、非喫煙者の方は肺気腫や慢性閉塞性肺疾患(COPD)を合併していないことが多く、肺機能が良好に保たれているケースが少なくありません。
そのため、
- 病変が小さい
- 肺機能が良好である
- 全身状態が良好である
といった条件がそろえば、肺の切除範囲をできるだけ抑えた胸腔鏡下肺部分切除術による手術が可能となる場合があります。
肺をより多く温存できることで、術後の日常生活への影響を抑えられる可能性があることも、早期発見の大きなメリットです。
当院で治療している早期肺がんの患者さんの中には、非喫煙の女性も少なくありません。
胸腔鏡を用いた肺部分切除術は傷が小さく、術後の回復も比較的早いことが特徴です。
また当院では、適応を慎重に判断したうえで日帰り手術を行っており、術後1時間程度で歩行や飲水が可能となり、その日のうちにご帰宅されています。
もちろん、すべての肺がんが日帰り手術の適応になるわけではありません。しかし、CT検査によって早期の段階で発見できれば、日帰り手術という選択肢につながる場合があります。
まとめ
肺がんは喫煙者だけの病気ではありません。
実際には、タバコを吸ったことのない女性に見つかる肺腺がんも少なくありません。
こうした肺がんは症状が出にくく、胸部レントゲンでは見つけにくいこともあります。
その一方で、CT検査によって早期の段階で発見できれば、肺をできるだけ残しながら治療できる可能性が高まり、日帰り手術という選択肢につながる場合があります。
「タバコを吸わないから大丈夫」と考えるのではなく、ご自身やご家族がCT検査で肺結節やすりガラス陰影を指摘された際には、早めに専門医へ相談することをおすすめします。
当院では、肺結節やすりガラス陰影(GGO)、早期肺がんについてのご相談を受け付けています。
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