医療コラム

肺がん検診(胸部レントゲン検査)でひっかかった方へ|がんの確率と放置のリスクを医師が解説

肺がん検診でひっかかった方へ|がんの確率と放置のリスクを医師が解説

東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック、院長の浅越佑太郎です。

肺がん検診の結果に「要精密検査」「E1」と書かれていると、「肺がんなのでは」と不安になる方は少なくありません。当院にも、検診で異常を指摘されたことをきっかけに受診される患者さまがいらっしゃいます。

結論からお伝えすると、胸部レントゲン検査での「要精密検査」は肺がんと診断されたという意味ではありません。その中で精密検査(胸部CT検査)を受けた方のうち、実際に肺がんが見つかるのは一部です。ただし、早期の肺がんは症状が出にくいため、「症状がないから大丈夫」と自己判断せず、早めに胸部CT検査を受けることが大切です。

この記事では、精密検査(胸部CT検査)で肺がんが見つかる割合、胸部レントゲン検査で異常を指摘される主な原因、放置した場合のリスク、何科を受診すればよいかを解説します。

目次

「要精密検査」はがんの診断ではなく、詳しく調べる必要があるという判定です

肺がん検診で「ひっかかった」とは、胸部レントゲン検査などで何らかの異常が疑われ、「要精密検査」と判定された状態を指します。

検診は、病気の可能性がある方をふるい分けるための検査であり、診断を確定するものではありません。そのため、この段階では肺がんかどうかはまだわかりません。精密検査でCT検査を行った結果、「異常なし」や「経過観察」となる方も少なくありません。

ただし、肺がんの可能性が否定されたわけでもありません。判定を受けたら、症状がなくても早めに精密検査を受けてください。

検診結果の判定区分の見方

自治体などが行う肺がん検診では、日本肺癌学会の基準に沿って、胸部レントゲン検査の結果をA〜Eに判定します 1)。

判定意味その後の対応
A撮影の不良などで判定できない再撮影
B異常なし(正常の範囲内の変化を含む)次回の定期検診
C異常はあるが、精密検査や治療は不要(古い炎症の跡、石灰化など)精密検査は不要
D1〜D4肺がん以外の病気で治療が必要な状態が考えられる(D1:活動性肺結核、D2:活動性非結核性肺病変、D3:循環器疾患、D4:その他)その病気に対する精密検査
E1肺がんの疑いを否定できない肺がんに対する精密検査
E2肺がんを強く疑う肺がんに対する精密検査

このうち、肺がんの疑いで「要精密検査」となるのはE1とE2です。E1は「肺がんと診断されたわけではないものの、否定もできないため詳しく調べる」という判定です。

一方、人間ドックや職場の健康診断では、日本人間ドック・予防医療学会の判定区分(A:異常なし、B:軽度異常、C:要再検査・生活改善、D:要精密検査・治療、E:治療中)を使う施設もあります 2)。同じ「E」でも意味がまったく異なるため、結果票に書かれた説明文もあわせて確認してください。

「要精密検査」と「要再検査」「要経過観察」の違い

結果票の書き方は施設によって異なりますが、一般的には次のような意味で使われます。

  • 要精密検査:CT検査など、より詳しい検査で異常の原因を調べる必要がある
  • 要再検査:同じ検査をもう一度受けて確認する必要がある
  • 要経過観察:今すぐの精密検査は不要だが、一定期間後に変化がないかを確認する

どれにあたるかわからない場合は、自己判断せず、検診機関や医療機関に問い合わせてください。

なお、胸部レントゲンとCT検査の違いや、当院を受診された方の実際のケースは、「肺がん検診(健康診断)で『要精密検査』と言われたら?」で紹介しています。

精密検査で肺がんが見つかる割合は?

自治体の肺がん検診の全国集計(令和4年度)をもとに、要精密検査となる割合と、そのうち肺がんが見つかる割合をご紹介します。

要精密検査と判定される人の割合

令和4年度に自治体の肺がん検診を受けた方のうち、要精密検査と判定されたのは約2.1%でした 3)。およそ50人に1人の割合です。

精密検査で肺がんが見つかる割合

要精密検査と判定された方のうち、肺がんが見つかったのは約2.6%でした 3)。およそ40人に1人の割合で、大部分の方には肺がんが見つかっていません。

検診を受けた方全体では、肺がんが見つかったのは約0.056%で、およそ1,800人に1人でした 3)。

確率だけで安心できない理由

ここで紹介した数値は、あくまで全国平均です。実際の割合は、年齢や性別によって大きく異なります。

要精密検査となった方のうち肺がんが見つかった割合(令和4年度)
年齢・性別割合
40〜44歳約0.3%
45〜49歳約0.7%
50〜54歳約1.2%
55〜59歳約1.3%
60〜64歳約1.6%
65〜69歳約2.2%
70〜74歳約3.0%
75〜79歳約3.3%
男性(全年齢)約3.3%
女性(全年齢)約2.0%

このほか、喫煙歴や見つかった影の大きさ・形によっても、肺がんの可能性は変わります。

「確率が低いから大丈夫」と自己判断するのではなく、精密検査で影の正体を確かめることが大切です。

胸部レントゲン検査で異常を指摘される主な原因

胸部レントゲン検査には、肺だけでなく、肺を包む胸膜や心臓、大血管も写ります。そのため、肺がん以外の病気や、治療の必要がない変化によって精密検査が必要と判定されることもあります。

肺がん

肺がん検診で異常を指摘された場合、最も注意が必要な病気です。肺にできた腫瘍が胸部レントゲン検査で影として写り、見つかることがあります。

年齢が高くなるほど、要精密検査となった方のうち肺がんが見つかる割合は高くなります。喫煙歴のある方も、早めに精密検査を受けることが大切です。

良性の肺結節

肺に小さな結節(しこり)が見つかることがあります。過去の感染症や炎症の跡、良性の腫瘍などによるもので、必ずしも悪性とは限りません。

ただし、レントゲン検査では肺がんとの区別が難しいため、CT検査で詳しく調べる必要があります。

肺炎や過去の炎症の跡

肺炎や気管支炎、結核などによる炎症や、治ったあとに残った跡が、影として指摘されることがあります。症状がなくても、こうした過去の炎症の跡が検診で見つかる場合があります。

なお、活動性の肺結核が疑われる場合は、肺がんとは別の判定区分(D1)で精密検査の対象となります。

肺気腫・COPD(慢性閉塞性肺疾患)

長期間の喫煙などによって肺の組織が壊れると、胸部レントゲン検査で異常として指摘されることがあります。肺がん検診をきっかけに、肺気腫やCOPDが見つかることもあります。

胸膜の肥厚や瘢痕(はんこん)

過去の炎症やけがなどによって、肺を包む胸膜が厚くなったり、傷跡のように硬くなったりすることがあります。こうした変化が、影として写る場合があります。

心臓や血管の異常

胸部レントゲン検査では、心臓の拡大や大血管の変化なども確認できます。循環器の病気が疑われる場合は、判定区分D3として精密検査の対象となります。その場合は、肺ではなく心臓や血管の検査が必要になることもあります。

結果票に書かれた所見名の意味

結果票には、影の種類と場所が書かれていることがあります。主な所見名の意味は次のとおりです。

  • 結節影:丸い形をした小さな影
  • 腫瘤影:結節影より大きな、塊のような影
  • 浸潤影:肺炎などでみられる、境界がはっきりせず、広がって見える影
  • すりガラス影:淡く、肺の血管などが透けて見える影
  • 石灰化:古い炎症の跡でみられることがある

「右下肺野」「左上肺野」などは、レントゲン上で影が見つかったおおよその場所を示します。肺を上・中・下の3つの範囲に分け、影の位置を表したものです。

ひっかかったまま放置しても大丈夫?

「症状もなく、ほとんどはがんではないのなら、様子をみてもよいのでは」と考える方もいるかもしれません。しかし、要精密検査と判定されたら、放置せずに精密検査を受けてください。

症状がなくても精密検査が必要な理由

早期の肺がんは、咳や痛みなどの症状が出にくい病気です。「症状がないから大丈夫」とは言い切れません。

もし肺がんだった場合、受診を先延ばしにしている間に進行するおそれがあります。早い段階で見つかれば、治療の選択肢が広がる可能性があります。

いつまでに受診すればよいか

結果を受け取ったら、先延ばしにせず医療機関を予約しましょう。自治体の検診では、精密検査の依頼書が結果に同封されていることがあります。受診の際は、結果票や依頼書を持参してください。

早期の肺がんの症状については、「肺がんステージ1の症状とは?」で詳しく解説しています。

精密検査では何をする?受診から結果説明までの流れ

肺がんの疑い(E1・E2)で要精密検査となった場合は、まず胸部CT検査を行います。CTの結果によって、その後の対応が決まります。

胸部CT検査

CT検査は、体を輪切りにしたような画像で肺の中を詳しく確認する検査です。胸部レントゲンでは見えにくい小さな影や、心臓・骨と重なった部分の影も確認できます。

検査台であおむけに寝て、数秒間、息を止めて撮影します。撮影そのものは数分で終わり、痛みはありません。

CTの結果で分かれるその後の対応

CTの結果により、その後の対応は大きく次の3つに分かれます。

  • 異常なし、または治療の必要がない変化:通常の定期検診に戻ります
  • 小さな結節など、すぐには判断がつかない影:一定期間をあけてCTを撮り直し、影の大きさや濃さに変化がないかを確認します(経過観察)
  • 肺がんの疑いが強い影:気管支鏡検査や、手術も含めて治療方針についてご相談します

影の種類ごとの詳しい説明は、「CTで『肺に影』と言われた方へ」、「すりガラス陰影(GGO・GGN)とは?」で解説しています。

経過観察では、結節の種類や大きさに応じて、3か月後などにCT検査を行い、影の大きさや濃さに変化がないかを確認するのが一般的です。「経過観察」は放置ではなく、変化を見逃さないための大切な検査です。

また、早期の肺がんが強く疑われる影でも、小さく、肺の外側(末梢)にある場合は、気管支鏡検査による診断が難しいことがあります。このような場合は、気管支鏡検査を行わずに、影を含む肺の一部を切除して調べる方法を選ぶこともあります。切除した組織で診断を確定し、肺がんであればそのまま治療にもなるため、「診断的治療」と呼ばれます。

経過観察の期間や考え方は「肺結節の経過観察はいつまで?」、気管支鏡検査と診断的治療については「肺がんの疑いで検査・入院と言われたら?気管支鏡検査と診断的治療を解説」で詳しく解説しています。

何科を受診すればいい?医療機関の選び方

呼吸器内科・呼吸器外科が窓口

肺がんの疑い(E1・E2)で要精密検査となった場合は、呼吸器内科または呼吸器外科を受診します。自治体の検診では、精密検査を受けられる医療機関の一覧が、結果とあわせて案内されることもあります。

なお、心臓や血管の異常(D3)を指摘された場合は、循環器内科が窓口です。

医療機関を選ぶときに確認したいこと

精密検査を受ける医療機関を選ぶ際は、次の点を確認しておくと安心です。

  • 胸部CT検査を受けられるか(院内または連携施設)
  • CT検査を受けるまでと、結果の説明を受けるまでに、どのくらいの日数がかかるか
  • 精密検査の結果、治療が必要になった場合に、手術を含めた治療について相談できるか

検査結果を待つ間は、不安を感じやすいものです。予約の段階で、検査から結果説明までの流れを確認しておきましょう。

当院での精密検査の流れ

当院は、呼吸器外科医と麻酔科医が連携し、早期肺がんの診断に加え、条件が合えば日帰り手術にも対応しています。検診で要精密検査となった方は、次の流れで受診いただけます。

  • 紹介状がなくてもご相談いただけます
  • CT検査がお済みの方は、CD-Rをご持参いただければ具体的な説明が可能です
  • CT検査がまだの方は、当院近くの連携施設で、保険診療でCT検査を受けていただきます
  • CT検査のあと、当院の医師が結果と今後の方針をご説明します
  • 精密検査の結果、治療が必要となった場合も、そのまま当院で治療方針をご相談いただけます

詳しくは「検診で精密検査を指示された方へ」をご覧ください。

肺がん検診の結果に関するよくあるご質問

Q.精密検査で異常なしだった場合、来年の検診はどうすればよいですか?

精密検査で異常がなかった場合も、翌年からの肺がん検診は引き続き受けてください。国立がん研究センターの肺がん検診ガイドラインでは、40〜79歳の方に年1回の胸部レントゲン検査が推奨されています 4)。

また、喫煙指数(1日の本数×喫煙年数)が600以上の50〜74歳の方には、年1回の低線量CT検査が推奨されています 4)。

Q.去年は異常なしだったのに、今年ひっかかったのはなぜですか?

新たに影ができた場合のほか、撮影時の姿勢や呼吸の状態などによって、影の見え方が変わることもあります。前年に異常がなかったからといって、今年の結果を軽く考えず、精密検査を受けてください。

Q.タバコを吸わないのにひっかかることはありますか?

はい、あります。肺がんは喫煙歴のない方にも発症し、近年では非喫煙者の若年女性の肺腺癌が増加しています。非喫煙者の肺がんについては、「非喫煙者でも肺がんになる?」で解説しています。

まとめ

肺がん検診(レントゲン検査)でひっかかったときに知っておきたい主なポイントは、次のとおりです。

  • 「要精密検査」は肺がんの診断ではなく、詳しく調べる必要があるという判定です。肺がんの疑いで要精密検査となるのは、E1とE2です
  • 令和4年度の全国集計では、要精密検査となった方のうち肺がんが見つかったのは約2.6%でした 3)。ただし、年齢や性別、喫煙歴などによって可能性は変わります
  • 胸部レントゲン検査の異常は、肺がんのほか、良性の結節や過去の炎症の跡、心臓や血管の異常などでも指摘されます
  • 早期の肺がんは症状が出にくいため、症状がなくても放置せず、早めに精密検査を受けることが大切です
  • 精密検査では、まず胸部CT検査を行います。診療科は呼吸器内科・呼吸器外科です
  • 早期肺がんはレントゲンでは見つからないことが多いため、レントゲンで異常がなくても安心はできません

結果票を見て不安を感じたら、一人で悩まず、早めに医療機関に相談しましょう。

CT検査で肺に影を指摘された方は当院までご相談ください

東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック

胸部CT検査で肺に影を指摘されると、「肺がんなのか」「このまま経過観察でよいのか」と不安になる方は少なくありません。

東京駅から徒歩7分、日本橋駅直結の「東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック」では、早期肺がんに対して、日帰りでの肺部分切除手術による根治を目指した治療を行っています。

> 実際に当院を受診された患者さまの声はこちら

当院では、早期肺がんの日帰り手術に加え、CT検査で見つかった肺の影の精密検査や診断にも力を入れています。診断から治療方針の検討まで、肺がん治療を専門とする呼吸器外科医と麻酔科医が連携し、経過観察でよいか、追加の検査や手術が必要かを判断しています。

  • 「経過観察」と言われたが、このまま様子をみてよいか不安がある
  • CT検査で肺の影を指摘され、肺がんかどうかを確かめたい
  • 手術を検討しているが、日帰り手術ができるか相談したい

このようなお悩みをお持ちの方から、ご相談いただいています。

すでにCT検査を受けた方は、CT画像をお持ちいただければ、画像をもとに病状と今後の方針をご説明します。

ご来院が難しい方に向けて、24時間受け付けている無料メール相談・LINE相談もご用意しています。

CT画像データをコンビニからレターパックなどで郵送いただき、後日受診していただくことも可能です。

肺の影や肺がんについて不安がある場合は、一人で抱え込まず、お気軽にご相談ください。

参考文献

1) 日本肺癌学会 集団検診委員会. 肺癌取扱い規約 第7版「肺癌集団検診の手引き」肺癌検診における胸部X線検査の判定基準と指導区分. 2012年2月改定.

2) 日本人間ドック・予防医療学会. 判定区分(2026年4月1日改定).

3) 国立がん研究センター がん情報サービス. がん検診の都道府県別プロセス指標. 令和5年度地域保健・健康増進事業報告(令和4年度の値).

4) 国立がん研究センター. 有効性評価に基づく肺がん検診ガイドライン2025年度版. 2025年4月25日(2025年9月12日修正版).

著者画像

この記事の監修者

東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック
院長 浅越 佑太郎
日本麻酔科学会 麻酔科指導医、日本専門医機構 麻酔科専門医
国立がん研究センター中央病院で共に研鑽を積んだ呼吸器外科医と協力し、東京日本橋に早期肺がんの日帰り手術を専門とするクリニックを開院。患者さま一人ひとりに寄り添い、身体的・精神的な負担を最小限に抑えた治療の提供を目指しています。
日本麻酔科学会 麻酔科指導医、日本専門医機構 麻酔科専門医
国立がん研究センター中央病院で共に研鑽を積んだ呼吸器外科医と協力し、東京日本橋に早期肺がんの日帰り手術を専門とするクリニックを開院。患者さま一人ひとりに寄り添い、身体的・精神的な負担を最小限に抑えた治療の提供を目指しています。
受診予約 医師へ無料相談
電話アイコン 電話予約
カレンダーアイコン WEB予約
会話アイコン 無料相談