肺がんの疑いで検査・入院と言われたら?気管支鏡検査と診断的治療を解説
CT検査で「肺に影があります」「肺がんの疑いがあります」と言われた場合、次に気管支鏡検査を勧められることがあります。
その際、
「気管支鏡検査とはどんな検査なのか」
「苦しい検査なのか」
「検査のために入院が必要なのか」
「気管支鏡で異常なしなら、肺がんではないのか」
「結局、手術が必要になることもあるのか」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
肺がんの診断では、CTで見つかった病変の大きさ・場所・形・すりガラス影の割合などによって、適した検査方法が異なります。
特に、肺の末梢にある小さな病変や、すりガラス状の病変では、気管支鏡検査を行っても診断がつかないことがあります。
また、気管支鏡検査が「陰性」であっても、それだけで肺がんを否定できるとは限りません。
一方、病変によっては、胸腔鏡で病変そのものを肺部分切除し、診断と治療を一度に行う「診断的治療」が選択肢になることがあります。
この記事では、気管支鏡検査の実際と診断の限界、そして早期肺がんに対する肺部分切除について解説します。
- 1. 肺がんの疑いと言われたら、どのような検査をする?
- 2. 肺がんの気管支鏡検査とは?
- 3. 気管支鏡検査は苦しい?実際にはどのように行う?
- 4. 気管支鏡検査は入院が必要?
- 5. 小さな肺がん・すりガラス影では、気管支鏡が陰性でも肺がんを否定できないことがある
- 6. 「診断的治療」とは?診断と治療を兼ねて肺部分切除する方法
- 7. 肺部分切除では、病変そのものを切除して診断する
- 8. 「気管支鏡→診断→手術」ではなく、一度の手術で済む場合がある
- 9. どんな早期肺がんなら肺部分切除が選択肢になる?
- 10. 気管支鏡を受けるべきか、最初から肺部分切除を考えるべきか
- 11. 早期肺がんなら、日帰りで肺部分切除できる場合があります
- 12. 「気管支鏡検査を受ける前」でも相談できます
- 13. まとめ|肺がんの検査は、気管支鏡検査の「その先」まで考える
肺がんの疑いと言われたら、どのような検査をする?
肺がんが疑われたからといって、すぐに肺がんと確定するわけではありません。
一般的には胸部CTなどで、病変の大きさや形、位置を詳しく確認します。
必要に応じて、
- PET-CT
- 気管支鏡検査
- CTガイド下生検
- 外科的生検(胸腔鏡による肺部分切除など)
といった検査を組み合わせて診断します。
CTやPET-CTは肺がんの可能性を判断するうえで重要ですが、画像だけですべての肺がんを確定診断できるわけではありません。
最終的な診断には、病変から細胞や組織を採取し、顕微鏡で確認する「病理診断」が重要です。
肺がんの気管支鏡検査とは?
気管支鏡検査は、細い内視鏡を口や鼻から入れ、のど、声帯を通して気管・気管支へ進めていく検査です。
肺にある病変まで気管支をたどり、鉗子などを使って組織を採取します。採取した組織の中にがん細胞が確認されれば、肺がんの確定診断につながります。
気管支鏡検査は、肺がんが疑われる場合に重要な検査の一つです。
気管支鏡検査は苦しい?実際にはどのように行う?
気管支鏡検査について、
「胃カメラより苦しいですか?」
「眠っている間に終わりますか?」
と心配される方も少なくありません。
気管支鏡を入れるのは、胃ではなく空気の通り道である気管・気管支です。
飲み物がほんの少し気管に入っただけでも、私たちは激しくむせて咳き込みます。それだけ気管は異物に敏感な場所です。
そのため、一般的には、のどや気管に局所麻酔を行い、必要に応じて鎮静薬や鎮痛薬を使用して、咳や苦痛をできるだけ軽減しながら検査します。
「思っていたより楽だった」「ほとんど覚えていない」という患者さんもいる一方で、「とてもつらかった」「咳が苦しかった」「もう一度受けるのは避けたい」と感じる方もいます。
通常の手術のように全身麻酔で完全に意識をなくして行うのではなく、局所麻酔や鎮静を用いて行うことが一般的です。
また、気管支鏡検査の鎮静は、手術の全身麻酔のように麻酔科医が麻酔管理を専門に担当する形ではなく、一般的には気管支鏡検査を行う医師や検査チームが、検査と並行して鎮静や呼吸状態を管理します。
鎮静を深くすれば苦痛を減らせる可能性がありますが、鎮静薬には呼吸を弱くする作用もあります。そのため、呼吸や酸素濃度などを確認しながら、検査も並行して行いながら、安全性と苦痛の軽減のバランスをとって鎮静する必要があります。
気管支鏡検査は局所麻酔や鎮静を用いて苦痛を軽減しながら行いますが、患者さんにとって決して負担の小さい検査とはいえません。
また、組織を採取するため、出血や気胸などの合併症にも注意が必要です。
気管支鏡検査は入院が必要?
気管支鏡検査を外来で行うか、短期入院で行うかは、医療機関や患者さんの状態、検査内容によって異なります。
検査では鎮静薬を使用することがあり、組織を採取した後には出血や気胸などが起こっていないか確認する必要があります。
そのため、外来で行う医療機関もあれば、1泊などの検査入院で行う医療機関もあります。
ただし、肺がんの疑いがあるすべての患者さんが、同じ検査を同じ順番で受けるわけではありません。
病変によって、気管支鏡で組織を採取しやすいものと、採取が難しいものがあるからです。
小さな肺がん・すりガラス影では、気管支鏡が陰性でも肺がんを否定できないことがある
ここは非常に重要なポイントです。
気管支鏡検査を受ければ、肺がんかどうか必ず分かるわけではありません。
特に診断が難しいのが、肺の末梢にある小さな病変です。
気管支は肺の奥へ進むほど枝分かれして細くなるため、胃カメラや大腸カメラのように、病変を直接見ながら確実に組織を採取できるとは限りません。
日本肺癌学会の肺癌診療ガイドラインでは、末梢型肺癌に対する従来の気管支鏡の診断感度について、
2cm以上の病変:63%
2cm未満の病変:34%
という報告が紹介されています。
現在ではナビゲーションなどによって診断率の向上が図られており、すべての気管支鏡検査がこの数字に当てはまるわけではありません。実際の診断率は、病変の大きさや位置、病変につながる気管支があるかどうか、使用する機器などによって異なります。
それでも重要なのは、
「気管支鏡検査が陰性だった=肺がんではない」とは限らない
ということです。
特に、CTで「すりガラス影」「GGO」「GGN」と呼ばれる淡い病変として見える早期肺がんでは、気管支鏡で組織を採取しても確定診断が得られないことがあります。
もちろん、すりガラス影のすべてが肺がんというわけではありません。炎症などによって一時的に出現することもあります。
一方で、長期間消えない病変や、徐々に大きくなる病変、内部の充実成分が増えてくる病変などでは、早期肺腺がんなどが疑われます。
このような病変では、患者さんにとって負担のある気管支鏡検査を行っても診断がつかず、最終的に外科的切除によって診断することがあります。
そこで選択肢になるのが、「診断と治療を兼ねた肺部分切除」です。
> 肺のすりガラス影(GGO・GGN)とは?肺がんとの違いと経過観察・手術の考え方
「診断的治療」とは?診断と治療を兼ねて肺部分切除する方法
通常は、
検査
↓
肺がんの確定診断
↓
治療
という順番を想像すると思います。
しかし、肺がんでは必ずしもすべての患者さんがこの順番になるわけではありません。
たとえば、
CTでは早期肺がんが強く疑われる
↓
小さく末梢にあるため、気管支鏡では診断が難しい
↓
病変は肺部分切除で十分に切除できる位置にある
という場合があります。
このような場合、胸腔鏡を使って病変を含む肺を部分的に切除し、切除した病変全体を病理検査して確定診断する方法があります。
そして、その病変が実際に早期肺がんで、肺部分切除が適切な治療となる条件を満たしていれば、
診断のために行った肺部分切除が、そのまま肺がんの治療になります。
これが、「診断と治療を兼ねて手術を行う」=診断的治療という考え方です。
肺部分切除では、病変そのものを切除して診断する
肺の末梢、特に胸膜に近い場所にある病変では、胸腔鏡を使って病変を含む肺を部分的に切除できる場合があります。
気管支鏡では病変の一部から小さな組織を採取して診断しますが、肺部分切除では、病変そのものを肺の一部と一緒に切除して調べることができます。
そのため、画像上肺がんが疑われているものの気管支鏡などでは確定診断が難しく、肺部分切除が可能な場所にある病変では、外科的切除による確定診断が選択肢になります。
> 肺がんの肺部分切除とは?肺葉切除との違い・適応・メリットを解説
「気管支鏡→診断→手術」ではなく、一度の手術で済む場合がある
診断的治療の対象となる患者さんでは、
気管支鏡検査
↓
診断がつかない
↓
最終的に手術
という経過ではなく、気管支鏡検査は行わずに、
胸腔鏡下肺部分切除
↓
病理診断
↓
結果、早期肺がんであれば、肺がん治療も完了
という選択肢を検討できる場合があります。
もちろん、気管支鏡検査そのものが不要という意味ではありません。気管支鏡で診断をつけてから治療方針を決めることが適切な患者さんも数多くいます。
重要なのは、その病変で気管支鏡による診断がどの程度期待できるのか、診断がつかなかった場合に次に何をするのかまで考えて検査方法を選ぶことです。
どんな早期肺がんなら肺部分切除が選択肢になる?
肺がんの手術では、すべての患者さんに肺部分切除が適しているわけではありません。
腫瘍の大きさだけでなく、
- 病変の位置
- すりガラス成分と充実成分の割合
- リンパ節転移の可能性
- 十分な切除範囲を確保できるか
- 患者さんの呼吸機能や全身状態
などを総合的に判断する必要があります。
一方、肺の末梢に存在する小型の早期肺がん、特にすりガラス成分の多い病変の一部では、肺葉を大きく切除するのではなく、肺を温存する縮小手術が適切な場合があります。
日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン2025年版」では、最大径2cm以下、かつCTで充実成分の割合が25%以下の末梢型非小細胞肺癌では、区域切除または肺部分切除による縮小手術が推奨されています。
つまり、早期に発見された肺がんの中には、肺を大きく切除せず、病変を含む一部分だけを切除することで治療できるものがあります。
気管支鏡を受けるべきか、最初から肺部分切除を考えるべきか
これはCT画像を見ずに判断することはできません。病変によっては気管支鏡検査が適している場合もありますが、一方で
- 小さい
- 肺の末梢にある
- すりガラス成分が多い
- 胸膜に比較的近い
- 画像上、早期肺がんが疑われる
- 肺部分切除で十分な切除範囲を確保できる
といった条件がそろっている場合には、気管支鏡検査では診断が得られにくく、最終的に外科的切除による診断が必要になることがありますので、最初から肺部分切除を行うのが適している場合もあります。
そのため、病変の大きさや位置、CT画像の特徴を見ながら、気管支鏡と外科的切除のどちらが適しているのかを検討することが重要です。
早期肺がんなら、日帰りで肺部分切除できる場合があります
東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニックでは、条件を満たす早期肺がんに対して、胸腔鏡下肺部分切除を日帰りで行っています。
対象となるのは、すべての肺がんではありません。
CT画像を確認し、
- 早期肺がんが疑われる
- 肺の末梢に病変がある
- 肺部分切除で十分な切除が可能
- リンパ節転移などを疑う所見がない
- 全身状態などから日帰り手術が可能
などの条件を総合的に判断します。
診断がまだ確定していない場合でも、診断的治療として肺部分切除を検討できることがあります。
また、CT画像から判断して、肺部分切除では治療が不十分になる可能性がある場合には、区域切除や肺葉切除、リンパ節郭清などが可能な連携医療機関をご紹介しております。
> 肺がんの日帰り手術とは?対象となる早期肺がんと手術当日の流れ
「気管支鏡検査を受ける前」でも相談できます
すでに他院で、
「肺がんの疑いがあります」
「気管支鏡検査をしましょう」
「検査のために入院してください」
と言われている方でも、CT画像があれば、病変の位置や性状から治療方針を検討できる場合があります。
もちろん、気管支鏡検査が適切と考えられる場合には、そのまま現在の医療機関で検査を受けることをおすすめします。
一方で、末梢の小型病変やすりガラス影など、気管支鏡で診断がつきにくく、かつ肺部分切除が可能な病変では、「診断と治療を兼ねた肺部分切除」を検討できる場合があります。
すでに気管支鏡検査を受けて「悪性所見なし」「診断がつかなかった」と言われた方でも、CT画像を改めて評価することが重要です。
まとめ|肺がんの検査は、気管支鏡検査の「その先」まで考える
肺がんが疑われた場合、気管支鏡検査は確定診断のための重要な検査です。
しかし、特に小さな末梢病変やすりガラス影では、気管支鏡検査を受けても診断がつかず、陰性であっても肺がんを否定できない場合があります。
病変によっては、胸腔鏡下肺部分切除によって病変そのものを切除し、確定診断と治療を一度に行える場合があります。
これが「診断的治療」という考え方です。
「肺がんの疑いと言われた」
「気管支鏡検査を勧められている」
「気管支鏡を受けたが診断がつかなかった」
「すりガラス影を経過観察している」
という方は、CT画像をもとに、その病変に適した診断・治療方法を検討することが大切です。
当院には、「癌はしっかり治療したい、でも、できるだけ負担は少なくしたい」という方からのご相談が多く寄せられています。
「気管支鏡を勧められたが、手術をした方がよいのではないか」
「できるだけ負担の少ない治療法はないだろうか」
「自分の肺がんが日帰り手術の対象になるのか相談したい」
といったご相談も可能です。
CT画像をお持ちの場合には、画像を確認しながら治療方針をご相談いただけます。
手術を受けるかまだ決めていない段階でも構いません。
肺がん手術や検査の方法についてご不安がありましたら、まずはお気軽にご相談ください。


