【実例公開】肺がんの日帰り手術は本当に可能?来院から帰宅までの流れを紹介
東京駅から徒歩7分の「東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック」です。
当院では、専門医4名による診療体制のもと、肺がんの早期発見に向けた 検査・診断から早期肺がんに対する日帰り手術まで一貫して対応しております。
はじめに
- 1. 今回ご紹介する症例
- 2. 08:00 来院・最終確認
- 3. 08:30 手術室へ入室
- 4. 08:35 麻酔開始
- 5. 09:05 手術開始
- 6. 09:27 腫瘍切除
- 7. 術後の痛みを抑える工夫
- 8. 09:58 手術終了
- 9. 10:05 麻酔終了
- 10. 10:10 回復室へ
- 11. 痛みはどうだった?
- 12. 吐き気はどうだった?
- 13. 11:05 歩行開始
- 14. 11:11 ドレーン抜去
- 15. 11:15 飲水開始
- 16. 12:20 ご帰宅
- 17. 帰宅後の経過
- 18. なぜ肺がんの日帰り手術が可能なのか?
- 18.1. 1. 早期肺がんの部分切除に限定している
- 18.2. 2. 日帰りに適した患者さんを選別している
- 18.3. 3. 肺がん専門外科医と麻酔科専門医が担当する
- 18.4. 4. 術後の痛みを適切にコントロールしている
- 18.5. 5. 術後早期離床と慎重なドレーン管理を行っている
- 19. 安全性について
- 20. 院長より
今回ご紹介する症例
- 40代女性
- 早期肺がん疑い
- 胸腔鏡下肺部分切除を実施
手術時間:53分
麻酔時間:1時間30分
出血量:ごく少量
来院〜帰宅:4時間20分(08:00-12:20)
08:00 来院・最終確認
まずは執刀する外科医から最終説明を行います。
CT画像を一緒に確認しながら、切除する部位や手術内容について改めてご説明します。また、ご不明な点やご不安な点がないか最終確認を行います。
その後、手術部位や同意書の確認を行い、お着替えをして手術室へ向かいます。
08:30 手術室へ入室
手術台に横になった後、血圧計や心電図、酸素モニターを装着します。
また、麻酔の深さや筋肉の力などを確認するための専用モニターも使用します。
麻酔中はこれらの情報をリアルタイムで確認しながら管理しており、安全性の確保だけでなく、術後に早くすっきりと目覚めていただくためにも重要な役割を果たしています。
08:35 麻酔開始
酸素マスクで深呼吸をしていただいた後、点滴から麻酔薬を投与します。
麻酔薬が効き始めると、数十秒ほどで自然に眠りにつきます。
眠るときに苦しさや痛みを感じることはありません。
その後、気管チューブを挿入し、人工呼吸管理を開始します。
手術室に入室してから眠るまでの時間は約10分です。
09:05 手術開始
肺がん手術では、手術する側の肺を一時的にしぼませ、反対側の肺だけで呼吸を行う特殊な麻酔管理を行います。
肺を少し小さくすることで胸の中に作業スペースができ、胸腔鏡を使った手術を安全に進めることができます。
この呼吸管理は麻酔科医が常に状態を確認しながら行っています。
09:27 腫瘍切除
まず胸腔鏡を用いて胸の中を観察します。
肺が胸壁にくっついてしまっている癒着がないか、胸水がたまっていないかなどを確認し、安全に手術を進められる状態であることを確認します。
その後、約4cmの小さな切開部から指を入れて腫瘍を直接触り、正確な位置を確認します。
肺の中の小さな病変は外から見ただけではわからないこともあるため、この確認は重要な工程です。
腫瘍の位置を確認した後、自動縫合器を用いて腫瘍を含めた肺の一部を切除します。
今回の症例では、手術開始から約20分後に腫瘍摘出が完了しました。
肺がん手術というと長時間の手術をイメージされるかもしれませんが、早期肺がんに対する部分切除では、このように比較的短時間で切除が完了します。
手術時間が短時間であることも、日帰り手術が可能な理由の一つです。
術後の痛みを抑える工夫
当院では手術終了前に肋間神経ブロックを行っています。
これは肋骨の間を走る神経の周囲に局所麻酔薬を注射し、術後の痛みを軽減する方法です。
手術後の痛みをできるだけ少なくすることで、患者さんが早い段階から深呼吸や歩行を行いやすくなります。
日帰り手術では、単に手術が早く終わるだけでなく、術後の痛みを適切にコントロールすることも重要であり、肋間神経ブロックはそのための大切な工夫の一つです。
09:58 手術終了
腫瘍を切除した後は、出血や空気漏れがないことを確認します。
肺の手術では、この確認が非常に重要です。
今回の症例では出血量はごく少量で、空気漏れも認めず、安全を確認したうえで手術を終了しました。
10:05 麻酔終了
麻酔薬を少しずつ減らしていくと、数分で自然に目が覚めてきます。
呼吸の状態を確認し、ご自身の力で十分に呼吸ができることを確認したうえで気管チューブを抜去します。
肺がん手術では特殊な呼吸管理を行うため、麻酔から安全に目覚めることも重要な工程の一つです。
今回の患者さんは速やかに覚醒し、呼吸状態も安定していました。
麻酔から覚めた直後の第一声は、「夢を見ていました。今何時ですか?」でした。
手術前は緊張されていましたが、麻酔から覚めた時には手術が終わっていたことに驚かれていました。
10:10 回復室へ
回復室では約1時間かけて、麻酔からの回復状況を確認します。
血圧や酸素濃度、心電図などを確認しながら、呼吸や意識の状態が安定していることを確認します。
また、痛みや吐き気、寒気などがないかを確認し、症状があればその都度お薬などで対応します。
手術は無事に終わっても、日帰り手術ではこの回復室での時間がとても重要です。安全にご帰宅いただける状態まで回復していることを確認しながら過ごしていただきます。
痛みはどうだった?
肺がん手術を検討されている患者さんから最も多くいただく質問の一つが、「手術後はどのくらい痛いのですか?」というものです。
今回の患者さんは、回復室に戻られた時点で傷口の強い痛みはありませんでした。
当院では手術終了前に肋間神経ブロックを行っており、この患者さんもその効果により、傷そのものの痛みはほとんど感じていませんでした。
一方で、胸に入っているドレーンによる違和感はありました。ドレーンは術後の空気漏れや出血がないことを確認するための細い管で、人によっては「胸が引っ張られる感じ」や「大きく息を吸うと違和感がある」と感じることがあります。
もちろん痛みの感じ方には個人差がありますが、多くの患者さんは「思っていたより痛くなかった」とおっしゃいます。
当院では、痛みが強くなってから対応するのではなく、手術中から痛み対策を行い、術後も早期から痛み止めの内服をしていただいています。痛みを適切にコントロールすることで、深呼吸や歩行をしやすくし、日常生活への早期復帰を目指しています。
吐き気はどうだった?
全身麻酔後は吐き気が起こることがあります。
この患者さんは吐き気が起こりやすい条件を複数持っていましたが、手術中に使用する薬剤を工夫し、眠っている間に先回りして吐き気止めを2種類入れておいたことで、吐き気を防げたと考えられます。
11:05 歩行開始
術後約1時間でレントゲン撮影を行い、肺が十分に膨らんでいることや出血がないことを確認します。
また、実際に歩いていただくことで、安静時には分からない空気漏れが出てこないかも確認します。
肺の手術後は「翌日までベッドで安静」というイメージをお持ちの方もいるかもしれませんが、問題がなければ術後早い段階から歩くことができます。
こうした回復の早さも、日帰り手術が可能な理由の一つです。
11:11 ドレーン抜去
空気漏れや出血がないことを確認したうえで、ドレーンを抜去します。
肺の手術後は、安静時には問題がなくても、歩行や深呼吸を行った後に初めて空気漏れが現れることがあります。
そのため当院では、ドレーンを入れたまま歩行とレントゲン検査を行い、問題がないことを確認してから抜去しています。安全性を重視した当院の工夫の一つです。
今回の患者さんも、歩行後に新たな空気漏れがないことを確認したうえでドレーンを抜去しました。
ドレーン抜去後は違和感も改善し、より楽に深呼吸できるようになりました。
11:15 飲水開始
意識が十分に回復していることを確認したうえで、水を飲み込めるかを確認します。
問題なく飲水できたため、痛み止めの内服を開始しました。
痛みが強くなってから飲むのではなく、痛みが出る前からコントロールすることが重要です。
当院では、手術中の痛み対策に加え、術後も計画的に痛み止めを使用することで、術後の負担をできるだけ軽減するよう努めています。
12:20 ご帰宅
以下の条件を満たしたことを確認し、ご帰宅となりました。
- 血圧や酸素濃度などのバイタルサインが安定している
- ご自身で歩行できる
- 飲水ができる
- 術後レントゲンで問題がない
- ドレーン抜去後も状態が安定している
- 痛みが制御できている
今回の患者さんは、来院から4時間20分でご帰宅されました。
一般的な肺がん手術では数日以上の入院期間が必要となることが多いため、多くの患者さんがこの短さに驚かれます。
帰宅後の経過
当日は多少の痛みがあったものの食事もでき、しっかり眠れたとのことでした。
翌日は日曜日で、午前中はご自宅でゆっくり過ごし、午後からお買い物と犬の散歩に出かけられました。
手術2日後の月曜日に術後診察に来られ、レントゲン撮影をし、問題がないことを確認しました。同時に、痛み止めの副作用の状況を確認し、患者さんの土日の痛みの具合を教えていただいたうえで、薬剤の量と内服のタイミングを調整をさせていただきました。
次回は3週間後、病理検査の結果説明の際に来ていただくこととしました。それまでに何かご不安なことなどがあればご連絡いただくこととしています。
もちろんすべての患者さんが同じ経過になるわけではありません。しかし、適切な患者さんを選択し、専門チームによる手術と麻酔管理を行うことで、当院ではこれまで全ての患者さんが予定通り手術当日に歩いてご帰宅されています。
「肺がん手術=長期入院」というイメージを持たれている方も多いと思いますが、早期肺がんの一部では、日帰りという選択肢も存在します。
なぜ肺がんの日帰り手術が可能なのか?
「肺がん手術なのに、本当にその日に帰れるのですか?」
これは初診時によくいただくご質問です。
当院で日帰り手術が可能な理由は、単に手術時間が短いからではありません。
複数の条件が揃うことで、安全性を確保したうえで日帰り手術を実現しています。
1. 早期肺がんの部分切除に限定している
当院で行っているのは、肺を大きく切除する手術ではなく、腫瘍の周囲を含めて肺の一部だけを切除する「部分切除」です。
葉切除や区域切除と比べて肺への負担が小さく、手術時間や麻酔時間も短くなります。
このような身体への負担の少なさが、日帰り手術を可能にする大きな理由の一つです。
2. 日帰りに適した患者さんを選別している
「手術ができる」と「日帰りができる」は同じではありません。
術前検査や全身状態を十分に評価し、安全に日帰りできると判断した患者さんを対象としています。
3. 肺がん専門外科医と麻酔科専門医が担当する
肺がん治療を専門とする外科医と、呼吸管理を専門とする麻酔科専門医が協力して治療を行っています。
肺がん手術では、分離肺換気を含む特殊な麻酔管理が必要となります。当院では術中の安全性は当然のことながら、術後に早く目覚めて歩行や飲水ができるよう、麻酔薬や鎮痛薬の使用方法にも工夫を行っています。日帰り手術では、手術そのものだけでなく「早く安全に回復すること」も重要です。
4. 術後の痛みを適切にコントロールしている
日帰り手術では、手術そのものだけでなく術後の痛みを抑えることも重要です。
当院では肋間神経ブロックと術後早期から内服薬を開始することで、深呼吸や歩行を行いやすい状態を目指しています。
5. 術後早期離床と慎重なドレーン管理を行っている
当院では術後早期から歩行を行い、その後にレントゲン検査や空気漏れの確認を行っています。
問題がないことを確認してからドレーンを抜去することで、安全性を確保しながら早期回復を目指しています。
安全性について
日帰り手術は、「無理にその日に帰宅していただくこと」ではありません。
当院では、帰宅前に十分な観察を行い、安全に帰宅できることを確認したうえで退院していただいています。
また、ご帰宅後に
- 呼吸が苦しい
- 顔や首が腫れてきた
- 強い痛みがある
- 発熱が続く
- 意識がもうろうとする
などの異変があった場合には、夜間でも連絡できる体制を整えています。
必要と判断した場合には、速やかに連携病院での診療や入院の手配を行います。
日帰り手術は「無理に帰す医療」ではなく、「安全に帰れる方を見極めて行う医療」です。
当院ではこれまで日帰り肺がん手術を行った患者さん全員が予定通りご帰宅されており、大きな合併症は認めていません。
院長より
肺がん手術というと、「入院が当たり前」と考えている方が多いかもしれません。
実際、現在でも肺がん手術は入院で行われることが一般的です。
当院では、手術技術や麻酔管理、術後管理を工夫することで、条件を満たした患者さんに対して日帰り手術という選択肢を提供しています。
もちろん、すべての肺がんが日帰り手術の対象になるわけではありません。
しかし、早期肺がんで部分切除が適している場合には、治療効果と身体への負担軽減の両立を目指せる可能性があります。
この記事をご覧になり、
「自分の肺結節は日帰り手術の対象になるのだろうか」
「経過観察と言われているが、このままでよいのだろうか」
「入院手術以外の選択肢はないのだろうか」
と感じられた方は、まずはご自身のCT画像や検査結果をもとに、日帰り手術の適応があるかをご確認いただくことをおすすめします。
当院では、安全性を最優先に考えながら、一人ひとりに最適な治療方針をご提案しています。


