肺がん部分切除術とは?
当クリニックで行っている肺がん部分切除術とは、肺がんの病変部を必要最小限の範囲で楔状(くさび状)に切除する手術方法です。主に早期肺がんに対して行われる低侵襲な外科治療の一つです。
肺がんの手術にはいくつかの術式があります。
- 肺葉切除術(肺の一葉を丸ごと切除)
- 区域切除術(肺の一区域を切除)
- 肺部分切除術(腫瘍周囲のみを切除)
この中で、肺部分切除術は最も切除範囲が小さい術式です。
肺がん部分切除術が可能な条件
肺部分切除術が適応となる主な条件は以下の通りです。
- 早期の肺がんであること
- 腫瘍径が比較的小さいこと
- 画像上、リンパ節転移が疑われないこと
- 腫瘍が肺の表面近くに存在すること
- 十分な切除マージンを確保できる位置であること
特に重要なのは、腫瘍から十分な距離(マージン)を確保できるかどうかです。
区域切除術・肺葉切除術との違い
区域切除術や肺葉切除術では、CT画像からあらかじめ解剖学的な区切りが明確です。
例えば、
- 腫瘍が含まれる「一区域」
- あるいは「一肺葉」
を丸ごと切除すれば、理論上、腫瘍は確実に切除されます。
つまり、切除範囲があらかじめ決まっている手術です。
一方で、肺部分切除術は区域や肺葉単位で切除するわけではありません。
そのため、腫瘍の位置を正確に把握し、腫瘍から十分な安全域を取って切除するという高度な判断が求められます。

肺部分切除術で最も重要な「マージン」とは?
マージンとは、腫瘍から切除断端までの距離のことです。
肺部分切除では、
- 腫瘍を小さく切ること
- しかし安全域を確保すること
という相反する条件を両立させなければなりません。
肺を小さく切除できることは、術後の肺機能温存という大きなメリットになります。
しかし、肺を小さく切ることばかりを優先し、がんの取り残しがあっては本末転倒です。
そのため、肺部分切除術は低侵襲でありながら、根治性を強く意識する手術でもあります。
触診の重要性 ― CTだけではわからないこと
近年、CT画像の精度は非常に向上しています。
しかし、特にごく初期の肺がんでは、
- 病変が非常に小さい
- すりガラス影(GGO)が主体である
- 立体的な位置が把握しづらい
といったケースがあります。
当クリニックでは、部分切除において術中に直接腫瘍を触診することを大切にしています。
指で触れたときの微妙な硬さの違い、わずかな凹凸の変化。
これらは画像だけでは判断できない情報です。
特に腫瘍が小さい場合、外科医の指先の感覚が極めて重要になります。
なぜ肺部分切除は難しいのか?
「切る範囲が小さい=簡単」ではありません。
むしろ、
- 解剖学的区切りがない
- マージンを自ら設計する必要がある
- 触診能力が求められる
- 切除不足は許されない
という点において、部分切除は高度な判断力を要する術式です。
実際に、部分切除の方が難しいという外科医の声を聞いたことがあります。
肺機能温存という大きなメリット
肺部分切除術の最大の利点は、術後の肺機能が大部分温存されることです。
- 高齢の方
- もともと肺機能が低い方
- 将来別の場所に新たな肺がんができた場合
上記以外の方にとってももちろん当てはまりますが、上記の方の場合は特に、肺をできる限り温存できることは重要な意味を持ちます。
ただし、その前提は「根治性が確保されること」です。
肺がん部分切除術の再発率について
肺がん部分切除術を検討される際、多くの方が気にされるのが「再発率」です。
部分切除は切除範囲が小さいため、「再発しやすいのではないか」と不安に感じる方もいらっしゃいます。
しかし、再発率は術式そのものだけで決まるものではありません。
重要なのは、
- 腫瘍径
- 病理組織型
- すりガラス影(GGO)の割合
- 切除マージンの十分性
- 脈管侵襲の有無
といった因子です。
特に、十分なマージンが確保され、早期で悪性度の低い腫瘍であれば、部分切除で良好な経過が期待できます。
つまり、
「部分切除だから再発しやすい」のではなく、
「適応が適切かどうか」が極めて重要
ということです。
何センチまで部分切除が可能か?
「肺がんは何センチまでなら部分切除できますか?」という質問もよくあります。
一律に何センチまで、と断言できるものではありません。
重要なのは、
- 腫瘍の大きさ
- 腫瘍の位置
- マージンを確保できるかどうか
- 肺全体の大きさとのバランス
です。
例えば、同じ大きさの腫瘍でも、
- 肺の表面近くにある場合
- 肺の深部にある場合
では難易度が大きく異なります。
そのため、CT画像を詳細に評価し、立体的に切除範囲を設計することが不可欠です。
肺がん部分切除術の合併症
部分切除は低侵襲ですが、手術である以上、一定のリスクは存在します。
主な合併症としては、
- 術後の肺からの空気漏れ(エアリーク)
- 出血
- 肺炎
- 無気肺
などがあります。
特に肺切除に特有なのは、術後の空気漏れです。
そのため、
- 肺実質を丁寧に扱うこと
- ステープルライン(肺を縫ったライン)の確認
- 術中のリークチェック(※)
が重要になります。
切除範囲が小さいからこそ、繊細な操作が求められます。
※術中のリークチェックはどのように行うのかについて少し説明すると、胸腔内(普段肺が収まっているスペース)に生理食塩水を満たした状態で、人工呼吸器を用いて麻酔科が肺を膨らませます。肺にかかる圧力を上げた状態で、縫い目から空気が液体の中にポコポコと漏れ出てこないことを確認しています。もし漏れていた場合はそこを修復します。
入院期間と日帰り手術について
一般的には、肺部分切除術でも数日間の入院が行われることが多いです。
しかし、
- 症例を厳格に選別する
- 出血や空気漏れを最小限に抑える
- 麻酔からの覚醒を安定させる
- 痛みをしっかりと取り除く
- 術後に帰宅可能な基準を明確化する
ことで、日帰り手術が可能となります。
日帰りで行うために重要なのは、「無理に日帰りにしないこと」です。
安全性を最優先にしたうえで、適切な症例のみを対象とすることが前提になります。
当クリニックでは、麻酔科専門医と呼吸器外科医が厳密に症例選別を行っております。
費用について
肺がん部分切除術は保険適用の手術です。
実際の自己負担額は、
- 年齢
- 所得区分
- 高額療養費制度の適用
によって異なります。
詳細な費用については、ホームページをご参照ください。
なぜ専門特化が重要なのか
肺部分切除は、
- 解剖学的な境界がない
- マージンを自ら設計する必要がある
- 触診能力が求められる
という点で、繊細な判断が求められる術式です。
術式を限定し、症例を厳選し、手技を標準化することで、安定した結果につながります。
部分切除は「小さく切る手術」であると同時に、「正確に切る手術」なのです。
まとめ
肺がん部分切除術とは、
- 早期肺がんに対する低侵襲手術
- 肺機能を最大限温存できる術式
- しかしマージン確保が極めて重要
- 適応判断が結果を左右する
という特徴があります。
区域切除や肺葉切除と異なり、腫瘍の位置を正確に把握し、安全域を設計し、触診で確認するという高度な判断が求められます。
小さく切るからこそ、より丁寧に。
それが肺がん部分切除術の本質です。
早期肺がんは当院までご相談ください

東京駅から徒歩7分、日本橋駅直結の「東京日本橋 早期肺がん日帰り手術クリニック」では、早期肺がんに対し、日帰りでの肺部分切除手術による根治を目指した治療を行っています。
一般的に「肺がん」と聞くと、長期の入院や継続的な通院治療が必要というイメージを持たれる方が多いかもしれません。確かに、そのような治療を要する種類やステージの肺がんも存在します。
しかし早期肺がんの中には、麻酔科医による適切な全身麻酔管理のもと、習熟した外科医が手術を行えば、1回の手術で切除を完了し治療を終えることが可能な肺がんも存在します。当院ではそのような肺がんに対して、日帰りでの肺部分切除手術を行っており、患者様の身体的負担を最小限に抑えつつ、根治を目指すことができます。
- 健診で肺に影が見つかったが、どこを受診すればよいかわからない
- できるだけ早く肺がんの手術を受けたいが、なかなか手術日が決まらない
- 他の医師の意見も聞いたうえで治療方針を検討したい
実際に、このようなお悩みをお持ちの患者さまから、多くのご相談をいただいています。


