転移性肺腫瘍(癌の肺転移)に対する胸腔鏡下肺部分切除
― 小型・限局型転移に対する肺がん日帰り手術 ―
転移性肺腫瘍とは
他臓器のがん細胞が血流を介して肺に到達し、結節として増殖したものを転移性肺腫瘍といいます。大腸がん、骨肉腫、軟部肉腫、腎細胞がんなどからの転移が多いです。
肺は全身の静脈血(全身の組織に酸素を届け終えた後の血液)が最初に通過する臓器であるため、血行性に転移が生じやすい特性を持ちます。
一般的に癌が転移したら手術ができないと思われる方が多いですが、肺転移=手術不能というわけではありません。
条件を満たす症例では、外科的な完全切除により生命予後の改善が期待できることが示されています。
肺転移に対して手術ではなく放射線治療を行う施設もあり、そちらも標準治療の一つではありますが、放射線が肺がんがある場所以外の正常な肺にも当たってしまうことは避けられず、放射線性肺臓炎(放射線が、癌以外の肺にも当たり、肺が硬くってしまう状態)を起こしたり、手術で取り切るわけではないため数ヶ月で再発する症例も見受けます。
肺転移巣の外科的切除と予後のデータ
大腸がんからの肺転移
- 完全切除後5年生存率:約40〜60%
- 単発転移ではさらに良好
- R0切除(※)が予後を改善するために重要な因子
※R0(アールゼロ)切除とは、がんの手術において、肉眼的な腫瘍の完全除去に加え、切除断端(切り口)に顕微鏡レベルでもがん細胞が残っていない「完全切除」のことです。治癒切除とも呼ばれ、癌の遺残がない状態を指します。
肉腫(骨肉腫や軟部肉腫)からの肺転移
- 完全切除後5年生存率:約30〜50%
- 再発時の再切除で予後が改善
腎細胞がんからの肺転移
- 単発・完全切除例で長期生存例あり
- 進行が緩徐な例では、外科的切除が有効な場合がある
重要なポイント
- R0切除(完全切除)できること
- 原発巣の癌が治療、制御できていること
- 肺転移の個数がいくつあるかも手術で切除可能かどうかの判断基準
当クリニックではR0切除(完全切除)を行うため、手術中に外科医が腫瘍を直接触って十分なマージンを確保した上で腫瘍を切除する方法を採用しています。
なぜ部分切除なのか
転移性肺腫瘍の多くは以下の特徴があります。
- 末梢結節型(肺の表面に近い場所にあり、塊として触知しやすいことが多い)
- 境界が明瞭
- リンパ行性の拡がりが少ない
そのため、転移性肺がんでは肺部分切除が標準術式となることが多いです。

当院の対象症例
主な適応
- 原発巣(元々の癌)が治療できている
- 他臓器への転移が制御可能な状態
- 3cm未満
- 1〜3個程度
原発巣として多い癌
- 大腸がん
- 肉腫(骨肉腫、軟部肉腫など)
- 腎細胞がん
- 分化型甲状腺がん
転移性肺がんに日帰り手術という選択肢
当院では主に早期肺がんを日帰り手術で行っておりますが、転移性肺がんについても術式が同じであるため、日帰り手術を受けていただけます。
手術時間1時間以内、痛みに配慮した胸腔鏡下手術、麻酔科医による術後疼痛管理により、条件を満たす症例で、転移性肺がんでも日帰り手術での対応が可能です。
他院でフォロー中の方へ
- 放射線治療や抗がん剤治療ではなく、手術でがんを取り切りたい
- 「小さいので様子を見ましょう」と言われている
- 手術で切除可能かどうか知りたい
- できるだけ肺機能を温存したい
画像データ(CD-R)をご持参いただければ、手術ができるかどうかについて、肺がん手術を専門とする呼吸器外科医と麻酔科医で検討させていただきます。
紹介医療機関の先生方へ
当院では小型末梢肺転移に対して、連携医療機関によるバックアップ体制のもと、胸腔鏡補助下転移性肺悪性腫瘍切除を日帰りで行っております。ご紹介後、概ね1週間以内には手術を行える体制を整えておりますので、お急ぎの患者様でも迅速な対応が可能です。
自施設に呼吸器外科手術を行う体制がなく、放射線治療や化学療法を検討されている先生方や、手術をお急ぎの場合は、当院までお気軽にお電話、LINEおよびメール相談からご連絡ください。
受け入れ基準の目安
- 3cm未満
- 1〜3病変
- 原発巣制御済み
連携体制
- 術前CT画像レビュー(CD-Rをご郵送ください)
- 必要時オンラインカンファレンス対応
- 術後迅速報告
- 病理結果共有
- 術後フォローは原則紹介元医療機関様へお戻し
侵襲を最小限に、確実な局所制御を目的としています。
よくある質問
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転移でも本当に切除する意味はありますか?
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がん種・個数・原発巣の制御状況により異なりますが、特定の条件においては転移巣切除により生存率改善が報告されています。ご相談ください。
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再発や新たな転移が見つかった場合は?
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再切除が可能な症例もありますので、お気軽にご相談ください。
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肺転移は早期肺がんではないが、手術できる?
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はい、術式が同じであるため手術可能です。むしろ、転移性肺腫瘍は結節型が多いため、手術中に腫瘍を触った際にわかりやすく、明確に切除ラインを決定できることが多いです。
まとめ
転移性肺腫瘍は「放射線治療、抗がん剤治療のみ」と決めつけるべき病態ではありません。
小型・限局型であれば、外科的完全切除という選択肢があります。
当院は、その領域に特化した施設です。
お気軽にお電話、もしくは無料のメール相談、LINE相談からご連絡ください。


